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アクセサリーOEMと材料価格高騰
アクセサリーのOEM(オリジナル商品の製造委託)をご検討中の皆様へ。現在、2025年11月13日時点において、アクセサリーの主要な材料である貴金属やその他の金属価格が、世界的な要因により歴史的な高値圏で推移しています。
OEMでオリジナルアクセサリーを製作する上で、この材料価格の高騰は「製造コスト」「見積もり」「納期」「最小ロット」など、あらゆる側面に深刻な影響を与えます。この記事では、OEM依頼を検討している方が知っておくべき最新の材料価格動向と、今すぐ取り組むべき具体的な対策について解説します。
2025年11月最新:主要材料の価格動向と高騰の背景
「金(ゴールド)が高い」というニュースはよく耳にされるかと思いますが、現在(2025年11月)は、アクセサリーに使われるほぼ全ての金属が高騰傾向にあります。
金(ゴールド:K18, K10など)
動向:国内の金小売価格は、2025年に入ってからも高値を更新し続けており、1グラムあたり20,000円を超える(またはそれに近い)歴史的な高値水準で推移しています。
背景:世界各地での紛争や情勢不安から、安全資産とされる金への需要が集中しています。加えて、各国の物価上昇に対し、価値の目減りしにくい金が買われる傾向が続いています。金は国際的にドル建てで取引されるため、円安が進むと国内価格は割高になります。また、各国中央銀行が外貨準備として金を保有する動きも価格を押し上げる要因となっています。
参照元:OANDA証券公式HP(金(ゴールド/XAU))
※2025年11月27時点
ステンレス(SUS316L, 304など)
動向:比較的安価でアレルギー対応素材として人気ですが、上昇傾向にあるため「安価」なイメージはありません。
背景:ステンレスの主原料であるニッケルやフェロクロムの国際価格が高騰しています。さらに、製造に必要な電力などのエネルギーコスト上昇が価格に転嫁されている状況です。
真鍮(ブラス)
動向:合金素材やメッキの土台として広く使われますが、価格は高止まりしています。
背景:真鍮の主原料である銅が、世界的な需要増(特にEV=電気自動車や再生可能エネルギー関連)や供給不安から高騰しています。銅も国際商品であり、円安が国内価格を押し上げる要因となっています。
その他(シルバー、樹脂、天然石など)
シルバー(SV925):金と同様に貴金属であり、価格は連動して高値圏で推移しています。
樹脂・梱包材:原油価格の変動により、アクリルやレジンなどの石油由来の素材や、OPP袋・化粧箱などの梱包資材もコストアップの圧力を受けています。
天然石・半貴石:採掘コストや人件費、物流費の上昇が価格に反映されやすくなっています。
材料高騰がOEM依頼に与える具体的な影響
こうした価格高騰は、OEM依頼者にとって以下のような具体的な問題となって現れます。
見積もりの有効期限が極端に短い
地金(金属材料)価格が日々変動するため、OEM先もリスクを負えません。以前は「月末まで」だった見積もりが、「1週間」「3日間」あるいは「即日回答のみ有効」となるケースが増えています。
発注タイミングによる価格変動
見積もり時と発注時(あるいは材料仕入れ時)の地金価格の差額を、後で調整する「地金スライド制」を導入している工場もあります。契約内容をよく確認しないと、想定外の追加費用が発生する可能性があります。
希望素材での生産が困難に
「その素材は高すぎるため、別の素材(例:シルバー925 → 真鍮+厚メッキ)に変更しませんか?」といった代替提案や、材料調達に時間がかかり納期が延びるケースがあります。
小ロット生産のハードルが上がる
材料費が上がると、工場の仕入れコスト負担も増えます。最低購入ロットが引き上げられたり、小ロット生産の単価が従来以上に割高になったりする傾向があります。
今、OEM依頼者が検討すべき5つの対策
このような厳しい状況下でも、工夫次第でコストを抑え、リスクを管理することは可能です。
対策1:素材の再検討(代替素材の活用)
コストインパクトが最も大きいのが素材です。ブランドの世界観を維持しつつ、代替案を検討しましょう。K18、K10、SV925といった貴金属をステンレス(SUS316Lなど)や真鍮に変更することで、大幅なコスト削減が可能です。特にステンレスは、耐久性・耐食性・アレルギー対応の面で優れており、近年の加工技術向上で高級感のある仕上げも可能です。
土台を真鍮やステンレスにし、表面にK18GP(18金ゴールドプレーテッド)やRHP(ロジウムプレーテッド)などの厚メッキを施すことで、見た目の高級感を維持しつつコストを大幅に削減できます。また、大ぶりなデザインは材料費が嵩むため、貴金属以外の素材やデザインの工夫を組み合わせることも効果的です。
対策2:デザイン・仕様の工夫
デザイン段階で材料使用量を減らす工夫をします。中を空洞にする(中空構造)、透かし彫りデザインを取り入れる、チェーンを細くする、トップを薄くするなどの軽量化が有効です。また、複雑な形状や石留めは加工賃も上がるため、できるだけシンプルなデザインにしたり、既存のパーツ(既製品のチェーンや金具)を活用したりすることでコストを抑えられます。
もし3D CADソフトが使える場合、原型用の3Dデータを自作して支給することで、型代(原型制作費)を削減できる場合があります。
対策3:発注方法の工夫
多品種少量生産は最もコストがかかります。展開する型数を絞り、その分、1型あたりの発注ロットをまとめる(例:10型各10個 → 3型各50個)ことで、単価交渉がしやすくなります。また、材料を一度に多く仕入れられる「まとめ発注」や、継続的な取引を前提とした契約は、単価引き下げの交渉材料になります。
対策4:OEM先とのコミュニケーション強化
必ず複数のOEM先に同条件で見積もりを依頼し、価格だけでなく、担当者のレスポンス、提案力、得意な素材・加工を見比べましょう。「見積もりの有効期限」と「地金スライド制の有無・条件」は、契約前に必ず書面で確認してください。
「その素材は安定して入りますか?」「在庫は持っていますか?」など、工場の材料調達力を確認することも重要です。
対策5:販売価格・ブランド戦略の見直し
原価上昇が避けられない場合、販売価格への転嫁も検討せざるを得ません。顧客が納得できる値上げ理由をしっかり説明する必要があります。材料費が高騰している今こそ、「素材」以外の価値(独自のデザイン性、ブランドの世界観、丁寧な梱包、アフターサービスなど)を高め、価格競争に陥らないブランド力を育てることが重要です。
まとめ
2025年11月現在、アクセサリーの材料価格高騰は非常に厳しい状況ですが、これは当面続く可能性が高いと見られています。
このような時代にOEMを成功させる鍵は、「安さ」だけを追求するのではなく変動するコストや納期のリスクについて誠実に情報共有し、代替案を一緒に考えてくれる「信頼できるパートナー(OEM先)」を見つけることです。
ぜひ本記事の対策を参考に、現状を正しく理解し、貴社のブランド戦略に最適なOEMの進め方をご検討ください。
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![]() 引用元:スペース公式HP(https://space-japan.net)
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![]() 引用元:石友公式HP(https://www.ishitomo.co.jp/index.html)
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![]() 引用元:B L.S.公式HP(http://bls-bell.com/)
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| 使用できる ベース素材 |
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| 対応商品 |
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| 修理対応 | 〇 | ー | 〇 |
| サンプル納品 スピード |
2~4週間 | 3~4週間 | 3~5週間 |
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